アスラエル/チアーヌ
けなのかは知らないが、この病院のベッドは簡単に壁から外すことができ、手術のときなどは、患者たちはみな寝ていたベッドごとコロコロと運ばれて行くのだった。
しかしこんな夜中に手術というわけでもあるまいし、と思ったが、
(そうか、あいつは個室に移動させられるのかもしれない)
そう気がついた。
看護師が男の寝ているベッドを押し、廊下まで出ていくのを、俺はカーテンの隙間からずっと眺めていた。
次の日の朝検温にきたいつもの看護師に、俺は昨夜のことを話してみることにした。
が、夜にはあんなに体調が良かったのに、朝になったら体中の倦怠感や痛みがひどく、ろくにしゃべることもできなかった。
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