荒地にて1.5/徐 悠史郎
 
1.5



「掛け値なし」だかどうか分らないが、私の荒地のイメージをいえば、それは色のない世界で、そして是非とも生命的なものの残骸がそこに現れていなければならないというものだ。<まったくなんにもない>というのでは、かまやつひろしの唄(ギャートルズのエンディング曲)にイメージが近付いていく危険があり、荒地としてはお奨めできない。

最初は「火星かな。。。」とも思った。ヴァイキングやマース・サーベイヤーが電送してきた例の赤茶けた地面。それは地面であって、大地というには少し無理のある<そこ>だった。だが火星表面の、限定しておくべきだが探査機が着地した地点における、あの赤茶けた色彩に、私は地
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