【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
、「わたし」は一つずつしか忘れることが出来ません、ひっきょう、あたしは「なにかをなくした気分」を得たくて、つまり、「忘れ」たくて、だから、「覚えることを」したくなくて、だけど、「町子さん、ねえ、町子さんってば、」って、あたし、「町子さん」に会ったこともないのに、なんか涙ぐんじゃって、「あなたの笑顔には見覚えがありません」だけど「わたし、あなたがしあわせに/今日も明日も生きていることを知っているんだよ」
けっきょく「わたし」は何を知ってるんだろう。あたしは自分の名前も知らないのに。
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{引用=
あたしの学校に
チャンスというあだ名の男子がいたんだけど、
すっかり忘れて
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