【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
じゃないおれじゃないと、首を横に振り、パーティションで区切られてしまった川島の肩を、カワシモが叩いた。これはただの肩叩きじゃないのだからな、とシシャモの声で、川島は涙をこらえている。予定されていた会議は全てキャンセルされ、ねえこのあとどうするの、と聞かれたカワシモは、川島を指差した。近頃の世の中は、どこもかしこも木っ端微塵だな、という顔をすれば、ぼくたちは助かるのかもしれない、と川島はどうやら本気で思った。(一条「川島」全文)
}
+++
「川島みたいなやつ」からはじめている。
したがって、
「川島」も、
「カワシモ」も、
「シシャモ」も、
その音の横滑りによっ
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(15)