【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 
ップさせたかったのか今となっては覚えていない。そうやって何かのスキルが知らないうちにアップされていれば社会は僕という個人を認めてくれたのかもしれない。試験に落ちるということは社会に認められないということだろうか。わかんないけど、少なくとも試験官の準拠する合格基準には認められなかったことは確かだ。認められなかった僕の半分側をあきらめたら、もう半分側はなんだろうか。人生のもう半分ってなんだろうか。

 人生っていうのが生まれてから死ぬまでの間だけだと考えられてるけど、誰かの話題にのぼっている限りはその話題の中だけでも生きているのかもしんない。人は人から忘れられたときに初めて死ぬのだ。そんなインチキ
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