【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
のどうなのよどっちなのよ。「兜」でのーみそ守りきれずに、どこかのだれかにぜんぶ送られちゃったの?
――どんだけ馬鹿やってくれるかなーという他人の期待にこたえて馬鹿をやるほどぼくは馬鹿じゃないんですが、というか、そういう馬鹿にはなりたくないと思いますが、残念ながらぼくは馬鹿なんじゃないでしょうか。
わっかにつかまえられた男子は空に浮かび上がって行くにつれて、少年から青年になって壮年になって老年になった。隣では「兜」をかぶった女子が同じように浮かび上がって、老年になった。ソーファーソーファーと祖父でも祖母でもない二人は歌いながら空を飛び交っている。そのうち一羽の鴎が二人を捕まえているわ
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