【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 
よね。

 「スペースシャトル」は宇宙へ行くための乗り物で、その行き先はいつだって宇宙なんだろうけど、その打ち上げを見守ってる人たちだって宇宙へ行く乗り物って知ってるんだろうけども、ミドリさんっていう人が「ナンセンスとイノセンスの同居」って指摘してるみたいに、「うちゅうがどこにあるのかだれもしらない。」てのは、あたしたちがいるところとは別に宇宙ってのがあるみたいに言ってるけど、あたしたちがいるところがすでに宇宙じゃないって何で言えるのさ。

 たとえば、誰かを好きになるってことは、そんな風に自分の立ち居地を「だれもしらない」って気付いちゃうようなゆさぶりみたいなもんに似ていて、だから「兜」
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