【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 
                  Salad Days



その時間になると、みんなで空を見上げた、あたいはそわそわして鈴木もそわ
そわした、ねえねえそれって降りてくるのそれとも。妻は義兄のそばを離れな
かったけれど、わたしに言わせればそんなことはどうでもいい。みんながわた
しのこしらえた兜をまだかぶってくれているのだ、


トントン、トントン、トントトン、




あたいは元通りになった下着もボストンバックに詰め込んで家を出た、鈴木は
あいにく待ち合わせ場所には来なかったけど、あたいはいつも理由もなく幸せ
だった、だけど、死ぬかもよってだれかに言われたら死に
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