遺骨の前で ー詩友の告別式にてー /服部 剛
大晦日に体調が急変して
救急車の中で息絶えた友の
告別式が行われた一月九日
遺影の中から
微笑む顔も
棺の中に
花を置いても
まるでフィクションのようで
制服姿の娘さんが
棺を囲む参列者に
挨拶の言葉を語る時
僕の中の感情、がふいに緩み
気づけば頬が、濡れていた。
親族の男手で運ばれた
台車に乗せられた棺は
雲一つ無い冬空の下
火葬場の入口へ、吸い込まれる
(喪服の参列者達は、後に続いた)
三十分後、骨になった友を
箸で摘んで骨壷に、入れる。
部屋に戻り
献杯の挨拶で育ての親だったという
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