笑っちゃうくらい些細な話/ゆず
 
すごく鬱陶しそうに言われた。

「私たち疲れてるんだから、それぐらいしてよ」

だから鍋の中のシチューを温めた。
べつに、なんともおもわなかった。
ちょっとぬるかったかな、とか意識の遠くの方で考えてた。

シチューをよそったお皿をテーブルの上に置いてぼーっとしてたら、
いつの間にかお母さんと弟の前に湯気が出てるシチューが置いてあった。

「大丈夫?冷たくない?」

お母さんが弟にそう言ったのを聞いても、
べつになんともおもわなかった。

べつになんともおもわなかった。
けどこれじゃあ私って本当に無意味だ、なんて気付いて
トイレでちょっとだけ泣いた。


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