【批評祭参加作品】近代詩と現代詩の受容の違いについて/岡部淳太郎
なく、それを受け取る人々の間でイメージが定着してしまっているということの方なのだ。
この人々が持つ詩に対する固定化したイメージが、近代詩と現代詩が受容される際にも働いてしまっている。すなわち、近代詩は抒情的であるが現代詩はそうではないということで、より抒情性が強い(と人々がイメージする)近代詩の方が、人々に好まれているのだ。
また、人々が詩に対して抱くこのイメージは、詩を若年の甘い夢として捉えさせもした。人が普段生きている殺伐とした現実からひと時逃れるための便利な装置として詩は見なされ、そのイメージをより人々自らの中で強化してゆくために、夭折詩人の事例が利用された。現実に対して詩は甘い抒情
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