時の缶詰/靜ト
人生は時の缶詰みたい
冬の午後に眠りから醒めてそう思った
左手が痺れてる
私の腕は男の腕に絡まっていて
わたしはそれを乱暴に解く
男は寝ている
ああ痺れた腕がうっとおしいな
愛してないのかと聞かれたら、
耳が体の一部なのとおなじ
と答えよう
痛くなるまで冷えたらあると気が付くだけ
口の中が、苦い
昔、
まだあたしが電話には話している相手が小さくなって入っているのだと思っていたくらい、昔
今より無知だった私は
今より残酷だっただろうか
優しさは、何かを知りすぎていることだと思ってきたけ
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