ずいぶんと忘れてしまっていた室内/真島正人
か感じることが出来ない。想像力の問題だろうか、想像力。石の中に投げ込まれる湖。
部屋の扉が開いて、前かがみの男が入ってくる。その人は、熱そうに舌を出して、へっへっへっへっへっへ、机のひとつのすぐそばにしゃがみこんで、あ、べべべべべべべべべ。おかしいのだ。おかしくなっているのだ。
唐突に、またカメラが引いていく、後ろに下がっていく。僕は椅子に座り、両腕を机の上に乗せて、引いていくカメラのほうを見ている。ずっと見ている。カメラは引いていく、やがて止まり、また戻っていく。
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