躑躅之辻/海里
 
新しい駅ができたり
引越ししたりして通らなくなった道
そんな道の道端に咲いていた花々を
覚えている

ひとんちの玄関先のプランターのシラン
マリゴールド、勿忘草
線路わき法面斜面のカリン
フリージア、野良薔薇

カリンは伐り捨てられてしまったけど
通らなくなった道だから尚更に
ことさらに
在りし日の姿ばかり思い出す

細いリボンのようだった花々
丸みを帯びた大きな葉
香りの実
毛虫の大群

どの花も
どこかでは同じ花が咲いているので
季節が
必ずその季節ごとに思い出させてくれる

たとえば冬にさえ
雪のようだった百日紅
今年もきっと揺れている/揺れる

今までに見てきた花たち全てとともに
同じ時の中を生きている

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