今にも落ちてきそうな空をみた/影山影司
限界なのだ。という声が聞こえた。
見ると綿雲がぶるぶると震えていた。
空が震えているわけではない。空を支えるものが震えているのだ。
いよいよその時が来たのだ。
私は日々の糧を得るための労働を投げ出して、走り出した。
戦後、日本の青空を支えてきたのはご存知の通り、電柱と電信柱である。米国や英国に比べて、我等が神州日本は霊峰富士を番にして、空と国土が非常に密接な関係にある。戦前は天皇陛下および神道仏教その他八百万の神霊仏に仕える信奉者のエネルギィによって空は天にあった。卑弥呼の時代より続くその仕組みの変換は、英国の占領支配によって発生したものだと言う事も語らねばなるまい。信心
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