空になった女の子/吉岡ペペロ
これはロシアのお話です
ワーニャという女の子が
冬の森を家へといそいでいました
こんなところに?
凍えそうな恰好をしたおばあさんが
娘さん、寒くてつらいんだよ、
ワーニャは着ていた服をにまい
おばあさんにかけてあげました
すこし寒いわ、いそがなきゃ、
森のなかは光がなんぼんかさしているだけでした
まただわ、だれかしら?
娘さん、凍えそうだよ、服を、
おじいさんがよわよわしい声でいいました
ワーニャはまたじぶんの服をあげてしまいました
ああ寒いわ、
ワーニャは夏の子供のような恰好になって
冬の森を家へとい
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