お正月の歌/atsuchan69
 
豆と伊達巻ください
 栗きんとん、ください
 鰊の昆布巻きください
 紅白の蒲鉾ください

――坊ちゃん。

 お屠蘇を注ぎに
 年の近いお女中の娘が傍に来て
――ええと、後で
 あとで羽根突きしましょう・・・・

紋付袴の父上が大声で笑い、
母上も妙に嘘っぽく優雅に笑って
振袖の姉さんも、妹も馬鹿みたいに笑って
小指のない庭番の誠爺さんも
大酒を呑んで誰よりも下品に笑って

 結い髪の老女中まで笑って

羽織の袖に隠していたグラビアを
僕はおもむろに取りだして拡げると
畳の上でそれを紙飛行機にして、
真向かいの老女中のお尻へ向けて飛ばした

 て
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