冒険の書 著 エンディ・スタッド/りょう
∞ おわりに
私はこれまで
数々の冒険について述べてきた
世界はかくも荒々しく美しいことを
伝えたかったからだ
最後に一人の青年
カントリーボーイの話を記して
筆を置くことにする
彼は平原に小屋を建てて以来
一人その場所にいる
彼は自由と友愛に満ち
詩と音楽
何よりもこの世にある
ありとあらゆるものを
愛してやまなかった
小屋のそばを通るものがあれば
人魚や狼男やサタンを
もちろん旅人も
パンとスープと暖炉で迎えた
傷ついた者には手当てを
やましい心を持つ者には
見抜き蹴っ飛ばすことさえ
いとわなかった
彼は
善は希望 悪は力
一つになって愛と
考えているようだ
仮に世界が割れ
ひしゃげるその瞬間も
彼はあらゆるものを
愛するだろう
彼は誰か
私でありたいし
あなたを待つ者かもしれない
― 完 ―
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