休息/風恋誦
 
高すぎる温度は猫舌には無理そう
少し飲みやすくなるまで
数分間の画家になってみる

キャラメル色の狭いキャンバスだから
そう大層なものは描けないけど

白いらせん 溶けて
甘いらせん 淵がぼやけて
なんかよくて

昨日の夢もこんな質感だった
ふわふわ柔らかい光に包まれて
思いがけない人に会って 気づいたら泣いていた

忘却の焼却炉には
このシーンだけ形を留めていて
涙は眠っていてもこぼれる事
しか教えてくれなかった

なぜ泣いていたのかね
空のティーカップに落とした言葉は
跳ね返って目に滲む
大切なものはいつも決まって忘れていく

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