捧げもの /服部 剛
 
私が君を知ってから 
血管のひとつひとつから 
香り高く咲き出るように 
この肉体は、花となる 

私は歩く 
今迄よりも、ほっそりと 
今迄よりも、まっすぐに 

そうして只 
じっと私を待っている 
君は一体、何者だろう・・・? 

今、私には 
ひと葉、ひと葉 
と古い自分を失いながら 
自分が自分から 
遠くなるのが、視える。 

君の微笑のような 
星々の群は 
肩を並べて夜空を仰ぐ 
私達の上に、巡っている 

幼い頃から今も尚 
水のかがやきで流れる 
すべてのものに 
君の名前を呼びながら 
私は祭壇に、跪く。 

その祭壇は 
君の髪を燈明に、燃えて   
君の胸にかかる首輪で、飾られる。  



  ※ この詩はリルケの「捧げもの」を異訳したものです。 







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