初夢/百瀬朝子
死んでしまった
わたしは
ゾンビのぬけがらを探している
腐っても腐っても
失いたくない何かを
無くしたがっている
母の抱いた夢を
娘は黙って飲み込んだ
いいも悪いもわからないとは
反逆の精神さえ知らないこと
いずれ確立した娘は
消化できない想いを
吐き出すこともできなくて
その胃袋を患うだろう
わたしはひとです
あなたもひとです
みんな人です
なぜ、いわなければ
わからないことがあるのでしょう
なぜ、だれかのために
泣くことができるのでしょう
たった一筋でした
痕が消えません
夢を抱きなさい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)