連続する立ち位置/捨て彦
い情けない会話の数々
地元の人間の行動をつぶさに観察して
頃合を見計らいつつ
この詩の語り手は
自分のお腹の中にある
やわらかい歯車を
きちきちと回そうとしていた。
街の夜中はとてもさわやかでよろしいなぁ
と
この詩の語り手は胸に手を当てて
その日相手をしてくれる隣の女の人に
優しく微笑みかけている。
しかし驚いたことに
この女の人は
16ビートに
横揺れで対処する人だ。
綺麗な ねいちゃんに道端で声をかけられて
ひょろひょろと情けない感じで
ついていったら
雑居ビルの狭い一室に入れられて
いつのまにか
スーツに茶髪のお兄さんが二人
目の前に座っている。
先ほどから眠たくて仕方がないこの詩の語り手は
朦朧とした意識の中で
これって詩になるんちゃうん
とつぶやきながら
茶髪の怒鳴り声を子守唄にして
テーブルに突っ伏して眠ってしまう。
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