連続する立ち位置/捨て彦
 
たこ焼き屋のまえで
たこ焼きが出来上がるのをじっと待っているジャリたれは
いつも実存のことばかりに頭を巡らせているので
たこ焼きくるくるするの難しい?
としつこく同じことを尋ねては
店のおばはんを困らせている。

その頃
飲み屋の一番奥の
便所に近い席に
酔いつぶれて突っ伏しているのは
もうわかり合うことのない一人称の僕たち二人。




夜中
誰かの眼鏡が
色とりどりのネオンを次々に発芽させている。

千鳥足の中年が空に羽ばたく時間帯
この詩の語り手は
馴染みのスナックで酒をたらふく飲んで
ママの傷心話に心を痛めている。

地図には載っていない情
[次のページ]
戻る   Point(12)