坂の上には雲がある/yo-yo
古い賀状ばかりだ
松竹梅ももう古い 葉書も人も古い顔をしている
新年とは ほんとに新しい年なのか
この寒さだけが新しい
ぱらぱらと降る雪と 耳を切るこがらしだけが新しい
寒さに震えている体が新しい
むかしむかし
寒いといって ひとは泣いただろうか
寒いといって 抱き合っただろうか
そんな記憶をかすかにたどる
いまは 坂のあるまちに住んでいる
せっせと坂道を上ると 体はあたたまる
それが唯一 坂の効用だ
坂の上には雲がある
雲は煙に似ている
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