坂の上には雲がある/yo-yo
 
むかしむかし と始めると
日本昔話になってしまいそうだが
古い話を始めないと
新しい物語も 始まらないのかもしれない
いつのまにか それだけ古いものを
背中にいっぱい背負ってしまった
はあはあと 息を切らしながら坂を上る
新しいものなど なかなか見えてはこない
見えてはこないから
ふたたび むかしむかしと始めると
この辺りには 小さな山があった
いつしか山は削られ まちになった
山の古いかたちが残ったので
新しいまちは 坂道の多いまちになった
ぼくは古い山の中腹に住んでいる
新しいまちの 坂の途中に棲息している
上ろうか下ろうかと 中途半端でまいにち迷っている

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