夢の欠片(かけら)/……とある蛙
それらすべて集めても
一つとして完全な物にならないのですが、
それを拾ったわたしだけは
一つになると信じて浮かれ
完全な物?
それは掴めぬ幽霊で
夢という名の幽霊で
その幽霊が集まって
一二までのわたしは出来ていました。
それから毎日少しずつ
夢の欠片(かけら)が落ちてゆき
そのうち拾ってきたことも忘れ去り、
後から拾ったつまらぬ欠片(かけら)の
日々(ひび)をつないで
今の自分になりました。
ひとりぽっちになったとき
少しは残っている夢の欠片(かけら)を
今でもときどき取り出して
後悔しながら想い出し
ひとりため息を吐いているのです。
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