おわりは始まり/りょう
 
マーくんとマーちゃんは
幼稚園で知り合いました
家はご近所で
よく公園で遊びました

二人とも照れ屋で
最初は大人の足に隠れ
一言も話しませんでした

ようやく砂場で
山を作りあうようになっても
一言も話しません

マーちゃんの転んだとき
マーくんが「大丈夫」と言って
手を出したのが話しの始まりです

よく手をつなぎ
ずれた会話もおかしくなくなったころ
親の都合で引っ越すことになりました
どっちがどこに行くのかは
もう大事なことではありません

マーくんは
マーちゃんの二の腕にかみつき
マーちゃんは
持っていたボールを投げつけ
唇をかみ締めました

傷つけあう別れは
潔いさようならと同じくらい
優しい作業です

砂場に落ちたボールが
夕暮れの中どこに転がっていったのか
もはや私に知るよしもありません
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