この冬最初に雪を見たのは新年だった/
あ。
小さな商店で
普段余り食べることがない少し高いお菓子を
子どもらしく駄々をこねて買ってもらった
お正月のささやかな贅沢だった
手を合わせる爪の先に雪は止まり溶ける
供えた南天の実を包むように
羽織った黒いコートの色を流すように
とめどなく空から降り落ちてくる
合わせていた手をそっと離すと
まるで待ち構えていたかのように
ひとひらの結晶が滑り込み
手のひらに刻み込むことは勿論なく
すぐに水滴になって消えた
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