この冬最初に雪を見たのは新年だった/あ。
 
握り締めることなんて出来ないってわかってるのに
風に翻弄されて舞い落ちる粉雪をつかまえて
その結晶を手のひらに刻み付けたいと思った


この冬最初に降る雪を見たのは
帰省先である少し北の街だった
坂をのぼるわたしの吐息は白く柔らかく広がり
かさかさの頬は薄い紅色をしていた


普段はひっそりと静まり返った墓地は
各々が艶やかな花で飾りつけられており
温度を持たぬ灰色の石は舞う雪を重ね
そろそろと結晶の形をいびつに溶かしてゆく


ただひたすらに優しかった眠る祖父よ
わたしと瓜二つの顔だった眠る祖母よ
最後に一緒に歩いたのはこんな日だった
今は潰れた近くの小さ
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