ロッキングチェア・ウィスキー。/菊池ナントカ
オウムの缶詰めを砂漠で開ける。
月が、ゆるやかに実ってる。
こんな時にはリンジーの事を思い出す。
彼女は今でも俺の事を史上最低のボーイフレンドと思っているだろう。
クレイジー・タイフーン。
砂嵐で前も見えない。
クレイジー・ローズ。
砂漠で薔薇は咲かない。
思い出すのは、
お喋りでホラ吹きの、あの娘の笑顔。
あの娘の笑顔。
砂漠の中にロッキングチェア。
俺以外、座る奴はいない。
砂漠の中でロッキングチェアは、いずれクズレゆくだろう。
そこに俺の骨は残るんだろうか。
太陽は骨すら溶かすかもしれない。
クレイジー・タイフーン。
素直な自分は前が見えない。
クレイジー・ローズ。
砂漠で薔薇は持たない。
思い出すのは、
歳に合わない化粧と香水の、あの娘の笑顔。
あの娘の笑顔。
欲しかったのは真心。
砂漠でロッキングチェアに座りウィスキーを飲む。
さよなら美しく儚い世界よ。
思い出すのは、あの娘の笑顔。
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