ゆうううつ/たもつ
 
れる
親友はそんな僕に、銀もいらないから、と
またその温かい手で握らせる
いったいいくつ並べたのか、もはや数え切れない
このまま並べ続けられればいい
そのように思ったのは僕だけではないはずだ
けれど終わって欲しくないことにはやがて終わりがくるものだし
飼育係の両親の良い名前ももう思い出せない
ポケットの中で親友の銀が音をたてた
いつも何かが多いくせに
足りない気持ちでいっぱいになる




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