あたりまえの言葉は 声は/鵜飼千代子
言葉はわかり合う為の
道標ではないかと
思うのです
ドアをあける前の足音で
ただいまの一言で
きょうの元気がわかるのは
いつものリズムと
その後の普通を
セットで記憶しているからで
伝えたい相手に
うまく気持ちが
伝わらないのは
こころを覆ったフィルターが
言葉を屈折させるからだと
思うのです
ちっちゃなけんかを
重ねても
瞬間の本当を
伝えあうことが
いちまい いちまい
はがしてゆく為の
大切な行程ではないかと
思うのです
そうして
おなじあたりまえを
こころの最も深い場所に
秘めている人に だけ
響くことのある
みえない言葉が
あるような気がして
ならないのです
1998.03.01. YIB01036 Tamami Moegi.
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