おいしくないや/葛西曹達
未来はこの手の中にあるなら
どうして僕の手は冷たいの
冷えきった両手で
僕は何を掴んで
何をすくい上げる
自販機で買ったホットコーヒーも
すぐに冷えてしまった
早く飲めばよかった
生ぬるくておいしくないや
流れ星に願いを託すなら
どうして僕はがんばるの
街の灯は明るさを増し
月の輝きに勝るほど
流れ星も降り注がない
行きたかったプラネタリウムも
いつか閉じてしまった
早く見とけばよかった
偽物よりもつまんないや
次の日も
その次の日も
同じ夢を見るような
たくさんの苦しみと
ちょっとの楽しみが
スパイスのように
上手く効いてるんだ
話したかったあの事だって
きっと忘れてしまうんだ
早く届けときゃよかった
なんて後悔したくないや
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