黙示録からのラブソング/りょう
各村の長が
たいまつを掲げ
占い婆の元に
かけつけた
ときがきたのだが
口を開いたのは
一刻たってからだった
これから起こることを
聞いてくれるね
みんなも
気づいてるだろうから
月のない夜だった
この地の下
岩も溶ける
灼熱の泥深くに
胎児が眠っている
この地が
できるときからずっと
寝る子は育つ
何度も続く地揺れのあと
その子はうぶ声とともに
陸から右手を
海から左手を突き出し
空の裂け目から
大いなる光を引きこむ
宇宙に
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)