枯れ木の山/吉岡ペペロ
 
枯れ木の山は

ところどころが日なただった

そこだけ獣の香りがしてそうだった

粗雑だなと思う

そこ以外は青灰色の山肌だった

ぼくは風邪ではないのに

声が日に日に出なくなっている

この声で高音もだしている桑田佳祐

Oh!クラウディアを口ずさんでみる、いい感じだ

ところどころの日なたが温かそうだ

枯れ木の山にほお擦りをしたくなる

ほんとうは冷えているのだろうが

待合室から見る山肌は温かそうなのだ

マスクをしていると

世界とつながっているのは口なんだと分かる

口で呼吸し飯を食う

目や耳や手ではなく

口と世界はつながっているのだ

なんて粗雑なんだと思う

夜になると

山は空に星を従えている

夜行性の動物たちが

あみだくじのように獣道をゆく

マスクとマフラーをしたまま

ベッドで目を閉じている

将来的な孤独をおぼえて

ぼくはいちにど強く咳こむ
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