色(しき)は匂はず/信天翁
 
ひかりのバルーンに頬ずりされている
ヌードになった庭の柿とモクレンよ
さぞ指先はつめたかろうなぁ
おらの手足が血の意図に反しているように
でも
息を律する背伸びまでしなくていいんだよ
地竜が背伸びするまでは
そのかわり
貧乏ゆすりはしていてもいいんだよ
いのちを節して立つ春が来るまでは
あゝ 街はずれから漂ってくる
野焼きの匂いがリクイエムのように

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