ふるさとの町/蒼木りん
 

もうない

確か

二・三年とつづかずに終わった

地道な一人一人の愛町精神とか

よりも

町長や議会が早急に進めた都市整備計画とやらで
堤防は丈夫なコンクリと芝で覆われて
デザインの施されたマンホールの蓋とかオブジェとか
洒落た外灯と石畳の公園に

ま新しい町になってしまったよ
メインストリートとして道路なんか広げて
古い商店街は喜んで店を建て直して
傾いた家や時の流れに関係ない胡散臭そな店は
みんななくなってしまった
 
夏祭りも秋祭りも
金髪で イベント屋ばかりで
見に行く気もしなくなった


同郷の人と同じことを思ったのだけれど

こっちの女は性格が悪い

のが多い


故郷を離れたから余計に昔の姿を重ねる

夏は冬に憧れて 冬は夏に返りたい

そんな歌があったが

また秋が廻ってきた


あちらでは 

まだ

都会の絵の具に染まりきらずにいるだろうか



戻る   Point(0)