ビー玉/こむ
瀬戸物屋の店先 雑然と並べられた
たくさんのビー玉がとても好きで
通りかかるたびに
ひとつかみほどのビー玉を買った
ひとすくいのビー玉の隙間では
柔らかに隠された感情が
のぞきこまれるのを待っていた
お菓子箱いっぱいのビー玉を
じゃらじゃらともてあそぶと
不思議の国に迷い込んだように
心の中で歓声をあげることができた
いつのまにか お菓子箱はなくなって
家中に散らばったビー玉
引き出しや戸棚を開けるたびに
思い出をにじませたビー玉が
すみっこに ひとつ ふたつ
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