わざと引きずる脚がもうない/因子
 
おしまいに向かって
呆けたからだは歩いていた筈だった
私の知っていたおわりはもうとうにすぎて
知らないおわりと
知らないはじまりが
叩きつけるように吹いてくるのを
ひとつもつかまえられないまま
ただ味のない呼吸をしている


もっとはやく飛び込んでいたら
きっとこわいものなど何もない筈だった
生を知る前に、
いのちを知る前に





私はあなたになれないから
私のことが可愛くない


理解するのが怖いから
おんなじ道は歩けない



ことばはつづく
足が痛くても
どこへも行けなくても
こんな命でも
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