『神を噛んで。』/川村 透
 
ゆっくりとおごそかに、にぎりまする、ねぶりまする
ふふ、なんかカワイイ

この方は神さまの御使いであたしは巫女なんだ
お香を焚き染めたようないい匂いがしてきた
厳かな音色、頭の芯がくらくらとして気持ちいい
あの方の指が耳に触れると薔薇のつぼみが開くみたいに力が抜けるわ
蒼い蛇がてらてらと光ってあたしの頬を打つ
薄目を開けると蛇の御体には聖なることばが掘り込まれていて
わたくしが紅い唇にそのおことばを含むと

--しゃ、りん!、鈴の音が響いて奥まで届く真理三昧

喉に宿るわたくしの本質が歌い始めています
濡れているのはどこでしょうか?
おかあさんはおしえてくれませんでし
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