午後を離れて/木立 悟
 






鳥を越えやがて止む雪咽に剣



融雪も乳牛もただ濁りゆく



区切りから区切りへ曲がる午後の音



何も得ず何も失くさぬ冬木立



堆(うずたか)く過去も未来も埋もれゆく



途切れよと途切れるままに刃のままに



荒れた手に冬満ちゆくか消えゆくか



一本の糸が蛍を遠ざける



原と街さかいを刻む水たまり



樹も鉱も鉄も時も越え想い馳せ



火の声は燈に直角に午後を去る














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