7時の鴎/森山イロイ
 
僕は静かな瓦礫の上に立って
消したいもの
弱らせたいものを
蛍光灯の輪の中にいれようと躍起になっていた。
7時の鴎は鷹揚に息をする。
ただのЩとして成り立つために、僕達はどうしたらよかったのだろう。
翼を畳んで、今よりももっと細くなって、
光の輪をすり抜けていく。
痛々しい歌だけを友として

瓦礫の街は風の中にあって
僕達を置き去りになどしなかった。
呼吸のようにいとおしいそれを呪わなければ、
きっと鴎のような奴は耐えられなかったのだ。

今は咳をすることも楽しい。
僕は消えうせる、
5時の鴎は高く、高く、舞い上がる、

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