葦毛馬の夢/深月アヤ
 

倦怠に縁取られた
無垢な黒い瞳

その瞳は
高い空を見上げることが無い

足元に絡んで踊る枯葉を
鼻先で弄びながら

右足と左足を交互に休ませ
歩き出す合図をただ待つ

広い草原を駆け抜ける夢は
生まれから無く

手綱の緩みを不安に思う
君の自尊心は何処にあるのか


誰にも撫でさせないその鼻面に
かすかなそれを感じはしたが

残り僅かな時を車に繋がれたまま
いつかは倒れて夢を見る

初めて得る 自由な夢

                
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