負けの味/八男（はちおとこ）
ぷつぷつと
カレーを煮込んで
居眠りして
焦がしてしまった
悔しくって 眠れなかった
夜 タバコを買いに行って ふかした
カレーなんて思いつかなければ
こんな目に合わずに済んだのに
調子に乗って
カレーの具材を買いに行くときから
この曲線は 流れていたんだ
この煙みたいに
今日のカレーの一部始終が
現れては 消える
なんにせよ
今日はカレーだけだった
焦げ臭いカレーの味の中を
何匹もの魚が泳いでいたなあ
とてもきれいに泳いでいたのだが
そんなこともおかまいなしに
ずんずんと気分は落ちていくばかりだ
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