焼きイモ/
桜 葉一
ほかほかの焼きイモを
2つに割って
片方を誰にあげる訳でもなく
なんとなく寂しい感じがして
片手に持ったそれを
焼きイモ売りのおっさんに渡して
一人の道を
ポケットに左手を突っ込んで
歩いたら
焼きイモが熱すぎて
落としてしまい
拾ったけど
食べる気もしなくて
仕方なく
近所の犬に勝手に与えて
帰った家路は
白い息が
ほかほかの焼きイモの
湯気みたいだった
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