自転車のブルース/番田 
 
誰でもない食べ物に
口づけるわけでもなく 風として
思いを釘指されてきたのだ 渦巻く
ぼくはあめ玉となっていたかった

暗闇の世界を
染みの僕は土ぼこりの電光掲示板で
誰のギザギザの芝もさざめく風として
プレパラートのような砂となった

何もないのだろう
手にするものが居座っているということは 旅立ちだから
横たわっている港で
川の乱反射として 髪の毛たちに悩んでいた

異邦人の言葉は砂漠の底に
ひとり閉じこもる 砂利として 干上がっていくような
語り手のゼンマイが アメリカを
背伸びして 歩いている 

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