クローゼット/未完
 
年末の大掃除に向かって
クローゼットを開けた

激動の一年を振り返り
ハンガーにかかったままの服を
どんどん投げ捨てる

こんなところにまで
思い出が詰まっていたなんて

いらないいらない
いらないいらない

いつのまにか溜め込んでいた
洋服なのか思いなのか

吐き出すように
断ち切るように

堰を切って出てきた自分を
止められずに終わりが来るのを
待った

いらないいらない
いらないいらない

いらないいらない
いらないいらない

気持ちが溢れ出した痕の
クローゼットはガラガラで

空っぽになっているかと思ったら
いくつかはちゃんと残していて

すべてを失くすことは
できない自分を知った

私はスッキリした顔をして
悪くないと笑っている

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