またひとつ楔を打ち込んだのでした/瀬崎 虎彦
 
届かない自分は
理想の自分の姿を
うまく描くことができず
うずくまる流星群の夜

見晴らしのよい丘で
花の香りにさそわれて
砂利道を革靴で
そぞろ歩いていたのでした

海が見える公園で
わたしはひさしぶりにその景色を見て
かつてのわたしに出会い

かつての私が描かなかった
届かぬ自分の理想に
またひとつ楔を打ち込んだのでした
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