アオウミガメの百年/
楽恵
しました
夜空には
生まれた晩と同じ
まあるいお月さまが出ていました
お月さまは
青海亀と大海原とそこに棲む全ての生きものを
いつもと同じように優しく照らしていました
その時
青海亀は気づきました
どんなときも空にはお月さまがいた
本当は
生まれたときからずっと
いっぴきぽっちではなかったんだ
年老いた青海亀の
百年の孤独が積もった硬い甲羅を
お月さまの光で銀色に輝く波が
静かに洗っていきました
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