アオウミガメの百年/楽恵
だけが
お母さん代わりに
青海亀が大きくなるのを見守りました
何年も
何十年も
青海亀はいっぴきぽっちで旅を続けました
かつてはとても柔らかかった背中の甲羅は
寂しさの分だけ
硬くなっていきました
二十年経って
青海亀はようやく仲間の海亀の群れに出会いました
青海亀はたくさんの友だちと仲良く楽しく大海原を旅しました
でもある日
大きな鉄の海賊船にのった
人間という生き物が
宝石箱に飾る鼈甲細工をつくるために
青海亀の友だちをみんなどこかに連れ去って行きました
青海亀は
またいっぴきぽっちになりました
背中の硬い甲羅は
さらに硬
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